「筋トレ BIG3」の一角、ベンチプレスの正しいやり方と得られる効果を海外のエビデンス付きで解説していきます。
ベンチプレスは、筋トレの王道であり最も有名なウエイトトレーニング種目を言えるでしょう。しかし問題は、多くのトレーニーが適切なフォームでベンチプレスができていない事です。
間違ったフォームのベンチプレスはケガのリスクが高くなります。
それでも優れた上半身のトレーニング種目である「ベンチプレス」をマスターすることは、分厚い胸板・強い上半身をを手に入れる近道です。
本記事の内容
- ベンチプレスの効果
- ベンチプレスで鍛えられる部位
- ベンチプレスの正しいフォーム
- ベンチプレスに有効なトレーニングギア
本記事では Mark Rippetoe著 starting strength(スターティング・ストレングス)を参考にしています。
目次
【最強の胸トレ】ベンチプレスの効果
ウエイトトレーニングの中でもっとも有名な「ベンチプレス」は、筋トレBIG3の一つに数えられます。正しいフォームで行った「ベンチプレス」は、大胸筋から三角筋、上腕三頭筋など上半身全体を鍛えてくれる優れたトレーニング種目です。
正しいベンチプレスで得られる効果を確認していきましょう。
- 分厚い胸板を手に入れることができる
- 複数の筋肉を同時に鍛えることができる
分厚い胸板を手に入れることができる
カナダ出身のナチュラルボディービルダー Jiff Nippardさんのデッドリフトの自己ベストは「ノーギアで160kg」
すべての男性の憧れとも言える「分厚い胸板」を手に入れるために最も効果的なトレーニング種目がベンチプレスです。
ポイント
ダンベルプレスやチェストプレスなどあらゆる胸トレ種目の中でもベンチプレスが最も効果的な理由は、一番重い重量でトレーニングできるからです。
ナチュラルにとって筋力を増やすには高重量のウエイトを扱わなければならないのです。
筆者自身、筋トレを始めるきっかけは分厚い胸板に憧れがあったからです。分厚い胸板は強さを求めるオスにとってたくさんの魅力が詰まっています。分厚い胸板があればどんなにシンプルなTシャツであっても、おしゃれに着こなすことができます。筋肉とはまさにファッションの一部なのです。
ベンチプレスを行うとどんな服でもおしゃれに着こなせる肉体が手に入りますよ!
ナチュラルにとって高重量ウエイトの必要性は下記の記事で書かれています。海外のサイトですが、翻訳変換して読むことをおすすめします。
複数の筋肉を同時に鍛えることが出来る
ベンチプレスは胸(大胸筋)を鍛える代表的なトレーニング種目ですが、胸(大胸筋)以外に複数の筋肉を鍛えられるコンパウンド種目(多関節種目)です。
基本的にウエイトトレーニングにおいて、一度に鍛えられる筋肉が多い方が優れたトレーニング種目と言えます。
複数の筋肉を同時に鍛えられることでカロリー消費も高まります。正しいフォームで行ったベンチプレスは脂肪燃焼効果もあるのです。
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【最強の3種目】筋トレBIG3だけで効果的に筋肥大|やり方とメニューを解説
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ベンチプレスで鍛えられる部位
出典:https://www.sfphes.org/2019/09/musclename-bk.html
筋トレBIG3の一角「ベンチプレス」は、多関節種目(コンパウンド種目)なので一つの動作で複数の筋肉が動員されます。トレーニングを始める前にどこの筋肉が刺激されているのかを知ることは筋肥大にとってかなり重要です。
マッスルコントロールを意識することで効率的に筋肉を刺激することができます。
ベンチプレスで鍛えられる筋肉
- 大胸筋(胸)
- 三角筋前部(肩の前側)
- 上腕三頭筋(腕の裏側)
- 広背筋(背中)
- 大腿四頭筋(太もも前)
筋肉の名前はこちらのサイトがすごく分かりやすいのでおすすめです。
大胸筋(胸)
ベンチプレスでもっとも鍛えられるメインの筋肉は、「大胸筋」です。
ベンチプレスで大胸筋を最大限動員することができ、重量を増やしていけば常に高負荷で成長できます。分厚い胸板を手に入れるならベンチプレスがもっとも有効であると言えます。
三角筋前部(肩の前側)
ベンチプレスでは、肩の筋肉「三頭筋前部」も鍛えることができます。三頭筋前部を鍛えることで正面から見た肩幅が広くスタイルの良いVシャープの身体になれます。
ベンチプレスは基本的に高負荷でトレーニングできるので肩にもかなり有効なトレーニングと言えます。ベンチプレスの重量が上がるとショルダープレスの重量もあがります。
上腕三頭筋(上の裏側)
ベンチプレスでは、バーベルを押し切るところで「上腕三頭筋」を使います。高負荷トレーニングなので上腕三頭筋を鍛えるにも非常に有効です。
上腕三頭筋を鍛えることで太くてたくましい腕を手に入れることができます。腕を太くしたいのなら上腕二頭筋より上腕三頭筋を鍛えた方が早いです。
広背筋(背中)
実は、ベンチプレスでは広背筋も動員されます。胸の種目であるベンチプレスで背中の筋肉が鍛えられるとは知らない人も多いと思います。
ベンチプレスでは胸を持ち上げ背中のブリッジを作ります。この姿勢を安定させるのに広背筋を使います。また、広背筋は三角筋と連動しているのでバーベルを押し上げる動作で、脇が開いたりするのを防いでくれます。
大腿四頭筋(太もも前)
ベンチプレスは下半身メインの種目ではないですが、間接的に大腿四頭筋も関与します。
大腿四頭筋が関与する動きは、ベンチプレスで押し上げる時に脚で床を押す動作「レッグドライブ」をする時です。
ベンチプレスでレッグドライブを効果的にすると拳上重量も増えるのでかなり有効です。レッグドライブをケツ上げと誤解している人もいますが全く違います。
レッグドライブの動作は、お尻をベンチにつけたまま「脚でベンチごと頭の方向に押す感覚」に近いです。
正しいフォームのベンチプレスは、たくさんの効果を得ることができるのです。
ベンチプレスの平均重量って何キロ?
ジムで初めてベンチプレスをした時、全然上がらないことにショックを受けてたことはないでしょうか。
周りの人たちが60kg、80kg、100kgまで挙げているのに自分は、40kgあがるかどうか、もはやバーベルだけでもキツイなんてこともしばしばありますよね。
しかし、全く気にすることはありません。
日本人のベンチプレスの平均重量が何kgかご存じでしょうか?
答えは、男性のベンチプレス平均重量は約40kg、女性のベンチプレス平均重量は20kgです。
実際、平均と比べて劣っているわけでもなく、なんら恥じることはありません。
正しいベンチプレスのフォームをマスターして、しっかりとベンチプレスに取り組んでいれば
100kgは必ず挙げられるようになります。
そのためにも正しいフォームを覚えることが重要です。
正しいベンチプレスのやり方
ベンチプレスの正しいフォームについて解説してきます。
Mark Rippetoe著 スターティングストレングスの教えに沿って解説していきます。正しいベンチプレスを覚えて怪我なく確実に強くなりましょう!
参考動画
ベンチプレスの一連のフォーム
- 20kgのバーベルシャフトから始めよう
- ベンチに寝転がりバーの下に目がくるように前後に調整する
- 足は地面にべたっと置いて肩幅ぐらいに広げる
- 手幅は55㎝~60㎝ぐらいに広げる(イメージはバーベルを胸まで降ろした時に前腕が地面に対して垂直になります)
- バーベルは手の付け根にのせる
- 肩を下げて、肩甲骨を寄せて胸を張る
- ラックからバーベルを持ち上げて肩関節の真上まで持ってくる(肘は伸ばした状態)
- 胸の下あたりまでゆっくり降ろす
- 胸にバーベルが触れたら肩関節の真上まで持ち上げる
【ポイントを解説】ベンチプレスのやり方
フォームのポイント
- バーベルの握り方
- ベンチプレスの手幅
- ベンチプレスのスタートポジション
- 肩甲骨を寄せる
- バーベルの起動
- ベンチプレスの呼吸法
- 下半身の使い方
バーベルの握り方
バーベルの握り方一つでベンチプレスの拳上効率がかなり違ってきます。ベンチプレスにもっとも適している握り方は、「サムアラウンドグリップ」になります。
サムアラウンドグリップとは、親指もバーに巻きつける握り方(手でバーを握りしめる)です。
人さし指で手幅を決め、親指をしたに向けて手を回内させて(内側に回すように)握ると最も効率の良い握り方になります。こうすることで手のひらの付け根から直接バーベルへとパワーが伝えられるのです。
サムアラウンドグリップの方がより安全性があり拳上効率も高いです。
バーベルを持つ手幅
バーベルの手幅を変えるだけで効かせたい対象筋の選択ができます。幅を狭くナローにすると上腕三頭筋が最も関与するのに対して、幅を広くワイドにすると大胸筋が多く関与されます。
最も効率よくパワーを出すのが目的である正しいフォームの場合は、ナローとワイドの中間で両手の人差し指の間隔が55㎝~60㎝になるようにします。ワイドにするほど大胸筋の関与が大きくなるとも言われていますが、ケガの危険性が高いのでワイドはおすすめしません。
このくらいの手幅を取ると、バーベルを胸まで降ろしたときに前腕が地面に対して垂直になり、最も可動域を大きく取れるようになります。正しい手幅にすると若干ナロー気味になります。
手の長さは個人差があるので、バーベルを胸まで降ろしたときに前腕が地面に対して垂直になるように意識しましょう。手が短い人より長い人の方が手幅が広くなります。
ポイント
- 人差し指の間隔が55㎝~60㎝
- バーベルを胸まで降ろしたときに前腕が地面に対して垂直の位置が良い
ベンチプレスのスタートポジション
ベンチプレスをマスターするには、スタートポジションがカギとなります。
初めに目線の真上にバーベルの下の面が見える位置にくるようにベンチに寝転がります。すべてのセットで同じ位置に寝るように意識します。
次にラックからバーベルを外します。ラックから外したらひじを伸ばしきるまでバーベルを上に押し上げ、肩の真上に来るように動かします。
バーベルと肩、ひじが一直線に並ぶ位置が正しいスタートポジションです。
この位置からバーベルを降ろしていきます。
肩甲骨を寄せる
正しくベンチプレスを行うときに肩甲骨を寄せる動作が重要です。
肩甲骨を寄せることでバーベルを押し上げるための土台になります。また、肩甲骨を寄せると胸を高く押し上げ、胸を張った姿勢が作れます。胸を張ることでより大胸筋を動員することができます。
肩甲骨を寄せるためのコツとして、自分の肩甲骨の間に手を当てているところを想像して、その手を肩甲骨ではさみこむイメージを持つといいでしょう。
その姿勢でさらに胸を張りましょう。胸を突きだすようにイメージするといいですね。
ポイント
- 目線の真上にバーベルの下の面が見える位置に寝転がる
- ラックから外したらひじを伸ばしきるまでバーベル上に押し上げ肩の真上来る
- 肩甲骨を寄せて胸を張る
バーベルの軌道
ベンチプレスが他のBIG3スクワット・デッドリフトと違うところは、バーベルの軌道です。スクワット・デッドリフトのバーベルの軌道は地面に垂直なのに対してベンチプレスは少しななめ上に押し上げるような軌道になります。
肩の真上のスタートポジションから胸の下部に触れるまでバーベルを降ろします。
ベンチプレスでバーベルの軌道を垂直にすると肩のインピンジメントが起こり、深刻な肩のケガに繋がります。ベンチプレスで肩を痛めている人の多くは、バーベルの軌道が原因です。
バーベルやダンベルでも脇を開いて垂直に降ろさないようにします。脇を開かない為にも、ナロー気味の手幅が重要になるのです。ベンチプレスでのケガの多くはワイドの手幅で生まれています。
ポイント
- ベンチプレスは少しななめ上に押し上げるような軌道
- 肩の真上のスタートポジションから胸の下部に触れるまでバーベルを降ろす
- 脇を開き過ぎない
ベンチプレスの呼吸法
ベンチプレスも他のBIG3同様に腹圧をかけましょう。毎レップ、バーベルを降ろし始める前に大きく息を吸い、息を止めた状態で動作を行い、バーベルを挙げたところで息を吐く呼吸法で行いましょう。
大きく息を吸い、息を止めることで胸の姿勢が安定され、より大きなパワーを出せるようになります。
ポイント
- 毎レップ、バーベルを降ろし始める前に大きく息を吸う 毎レップ
- 息を止めた状態で動作を行う
下半身の使い方
以外とおろそかにされがちなのが、下半身です。ベンチプレスは上半身の種目だから下半身は関係ないと思っている人もいますが、しっかりと下半身を使えると重量アップにもつながります。
肩幅程度に足を開き、かかとまでべったりと地面に付けましょう。すねと地面が垂直になる位置が地面を押して胸からベンチに効果的にパワーを伝えることができます。
バーベルが胸に触れてから押し上げる時、脚で頭の方向に向かってベンチごと押します。これがレッグドライブを生み地面からのパワーをバーベルまで伝えることができます。
ベンチプレスの動作中にお尻を上げる「尻あげ」は禁止。尻あげはサッカーで手を使ってはいけないのと同じです。
ポイント
- 肩幅程度に足を開き、かかとまでべったりと地面に付ける
- すねと地面が垂直になる位置が良い
- 尻上げは禁止
【初心者にありがち】ベンチプレスの間違い
ベンチプレスで良くある間違いを確認していきましょう。間違ったフォームはケガに繋がります。
ベンチプレスでよくある間違い
- サムレスグリップで握る
- 限界まで追い込む
- 手幅の間隔が広すぎる
- バーベルを目で追ってしまう
- 押したときに肩が前にでる
1.サムレスグリップで握る
ベンチプレスの握り方によくある間違いがサムレスグリップです。ベンチプレスにおいてサムレスグリップで握るのはやめるようにしましょう。
サムレスグリップとは、親指をバーから離す握り方です。
サムレスグリップでは拳上効率が下がります。手でしっかり握れていないので、肩と胸がバーベルを押し上げる力を十分に出せないのです。
更に親指をバーに巻き付けていないので高重量のベンチプレスの時に誤ってバーベルが手のひらから滑ってしまう危険があります。
たしかにサムレスグリップで高重量を挙げる人はたくさんいますが、正しいフォームの観点から大事故の危険性があり、かつ拳上効率も悪いサムレスグリップはおすすめしません。
2.限界まで追い込む
多くのトレーニーが限界まで追い込むことを重要視していますが、ベンチプレスなどコンパウンド種目ではやるべきではありません。
筋肉は24~78時間で回復すると言われていますが、神経系の回復には時間がかかります。ラスト1レップまで追い込むと神経系の回復に1週間を要してしまうので、トレーニングの機会損失になってしまいます。
基本的にナチュラルトレーニーは高頻度でトレーニングすることが最適なので、限界までやらないようにするべきです。
実際アメリカの研究で、最後の1レップまで追い込むグループとラスト1レップ余力を残したグループとでは、筋肥大に違いは見られなかったという結果がでています。
限界まで追い込む根性論に根拠はありません。
3.手幅の間隔が広すぎる
ジムでベンチプレスをやっているトレーニーの多くが手幅が広すぎると感じます。
手幅を広くすると大胸筋の関与が増えるというメリットがあるかもしれませんが、それよりもケガのリスクが高まります。
また、アスリートにおけるパフォーマンス向上を目指しているなら、ワイドな手幅にメリットはありません。ベンチプレスでパワーを付ける為には、拳上効率が良いナロー気味の手幅がベストなのです。
4.バーベルを目で追ってしまう
ベンチプレスの良くある間違いでフォームを気にするあまり、バーベルを目で追ってしまう人がいます、バーベルを目で追ってしまうとかえってバーベルの軌道がうまくいかなくなります。
目線は常に天井の一点を見つめバーベルを目で追わないようにしましょう。
5.押したときに肩が前に出てしまう
もう一つよくある間違いがバーベルを押したときに肩が前に出てしまうことです。肩が前に出ることで肩を怪我しやすくなり大胸筋から負荷が抜けてしまいます。
必ず胸を張った状態を維持して動作しましょう。
まとめ:フォームを覚える秘訣は高頻度
正しいフォームを頭で理解していても体は思う通りに動いてくれないと思います。早くベンチプレスのフォームを覚えるためには、軽い重量から初めて高頻度でやることが重要です。
筋トレ業界は、1部位週1回のトレーニングが浸透しています。これでは、ベンチプレスをマスターするのに時間がかかります。部位週2回以上の高頻度が筋力アップ・筋肥大にも効果的です。
ベンチプレスの1週間の頻度は、2回~3回取り組むのが早くフォームを覚えるための近道です。週1回ベンチプレスをするグループに比べて、1年後には重量や胸のサイズでもかなりの差が付いてることでしょう。
また、軽い重量から始めることが大切です。まず、バーベルのシャフトのみでベンチプレスをします。身体がなれてきたら「自分が確実にコントロールできる重量」で行いましょう。コントロールもできない重量でのはちゃめちゃなトレーニングからは、卒業しましょう。
正しいフォームをマスターすることでケガ無く確実に筋力アップ、筋肥大ができるのです。筋トレメニューにベンチプレスを取り入れることで憧れの分厚い胸を手に入れることができますよ。
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【最強の3種目】筋トレBIG3だけで効果的に筋肥大|やり方とメニューを解説
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