バーベルデッドリフトのフォームと得られる効果を海外のエビデンス付きで徹底解説していきます。
デッドリフトは強い背中を作ります。強い背中は他のトレーニング種目に必要になります。そして、強い背中は他のスポーツにも、仕事にも、生活にも必要です。デッドリフトのやり方を覚えましょう。
Mark Rippetoe著 starting strengthより引用
「筋トレ BIG3」の一角 デッドリフトは、あらゆる背中のトレーニングの中でもっとも効果的な種目です。正しいデッドリフトを覚えることが、すべてのトレーニング種目の挙上重量アップに繋がります。
本記事の内容
- デッドリフトで得られる効果
- デッドリフトで鍛えられる部位
- デッドリフトの正しいフォーム
- デッドリフトに有効なトレーニングギア
本記事では Mark Rippetoe著 starting strength(スターティング・ストレングス)を参考にしています。
目次
デッドリフトが最強の種目たる所以(ゆえん)
デッドストップ「完全に静止した状態」から力を出すデッドリフトは、筋トレBIG3の中でも、最もキツい種目です。
最もキツい理由は筋肉の伸展反射が使えないからです。
スクワットやベンチプレスは、ウエイトを下ろす動作から始まります。ウエイトを下ろして挙げる瞬間に筋肉の伸展反射が作用し、ウエイトを挙げる動作を手伝ってくれるのですが、デッドリフトは伸展反射が使えません。
死ぬほどキツいデッドリフトですが、得られる効果は絶大です。大きくて強い背中を作ってくれる唯一無二のトレーニング種目と言えます。
この通りデッドリフトが最強のたる所以(ゆえん)は、
最強の効果を得られるが最強にキツいから。
しかし、間違ったデッドリフトは深刻な怪我の危険性を伴います。正しいデッドリフトをマスターして筋肥大、筋力アップ目指していきましょう。
デッドリフトの効果
デッドリフトは、複数の関節が使われる「多関節種目(コンパウンド種目)」です。一度にたくさんの筋肉が使われます。
最もキツい種目と言われていますが、得られる効果は絶大です。デッドリフトに取り組むためにも効果を知っておくことが大切です。
- 背中の筋肥大・筋力アップに効果的
- 腰痛の予防になる
背中の筋肥大・筋力アップに効果的
大きくて分厚い背中を作るのにデッドリフトほど最適なウエイトトレーニングはないでしょう。多くのボディビルダーがデッドリフトをやっています。
当ブログで度々紹介させて頂いている カナダ出身のナチュラルボディービルダー Jiff Nippardさんのデッドリフトの自己ベストは「ノーギアで235kg」を誇っています。https://www.openpowerlifting.org/u/jeffnippard
デッドリフトの重量が増えるほど背中もデカくなります。また、デッドリフトが強くなると他のトレーニングで扱える重量も増えていきます。
スポーツにおけるパフォーマンス向上を目指すアスリートにも非常に有効です。つまり、デッドリフトで鍛えた筋肉は、すべての日常生活で使えるのです。
腰痛の防止になる
デッドリフトは腰の怪我をしやすいと思って敬遠している方がいるのではないでしょうか?
たしかに間違ったフォームのデットリフトは深刻な怪我をする危険性があります。使い方を間違えるとトレーニングに支障をきたしてしまいます。
しかし、正しいフォームのデッドリフトは腰痛予防の効果があります。言うならば腰や腹筋に筋肉の鎧をつけてくれるので、腰痛から守ってくれます。
基本的に腰痛予防の為には、腹筋を鍛えることも大切です。デッドリフトでは腰の筋肉と腹筋を効果的に鍛えられます。
とにかく間違ったフォームで、デッドリフトを行わないことが重要です。
デッドリフトで鍛えられる筋肉の部位
コンパウンド種目であるデッドリフトは人体の裏側をほぼ全てカバーできる最強のウエイトトレーニングです。
具体的にどこが重点的に鍛えられるのか確認していきましょう。鍛えられる筋肉を知ることはトレーニング効果を上げる為にも必要です。
デッドリフトで鍛えられる筋肉の部位
- 背中の筋肉(脊柱起立筋、広背筋、僧帽筋など)
- ハムストリング・大殿筋(太もも裏側・お尻)
- 前腕
- 腹筋
背中の筋肉(脊柱起立筋、広背筋、僧帽筋など)
デッドリフトは背中の筋肉を鍛えるメインのトレーニング種目です。
メモ
- 背中の上部についている僧帽筋
- 背中に広がりをもたらす大円筋・広背筋
- 背中の下部にある脊柱起立筋
など背中全体を鍛えてくれます。デッドリフトは、分厚く強い背中を作ってくれるのでかっこよくて男らしい背中を手に入れたい方にはぜひおすすめです。
デッドリフトが強くなると自然と他の背中の種目も強くなります。
適切なフォームで行えば広背筋にもしっかり効かせることができます。デッドリフトで広背筋に効かないと思っている方は、フォームが間違っている可能性がありますよ。
ハムストリング・大殿筋
デッドリフトの最初の動作、床から膝まで引く時に「ハムストリングス」「大殿筋」が使われます。デッドリフトは足のトレーニングとしても効果的です。
高重量のデッドリフトは、ハムストリングス 大殿筋 にも高負荷がかかるのでかなり有効的なトレーニングと言えます。
前腕(握力)
デッドリフトをすると分かりますが、回数を重ねていくと握力に限界が来ます。デッドリフトにおいて握力は非常に重要な要素です。
他の主要なトレーニング種目と比較して、デッドリフトが最も効果的に握力を鍛えることができます。
腹筋
腹筋もデッドリフトで鍛えることができます。他のBIG3同様に力を加えるときに腹圧を高めることが重要になります。
デッドリフトでは、床からバーベルを引くときにお腹に空気をためて腹圧を高めます。そうすることで、コアを固めて腹筋を使うことができます。
腹筋トレーニングをしなくてもデッドリフトで腹筋が鍛えられるのです。
正しいデッドリフトのフォーム
オーソドックスなスタイル「コンベンショナルデッドリフト」をご紹介します。
Mark Rippetoe著 スターティングストレングスの教えに沿って解説していきます。正しいデッドリフトを覚えて怪我なく確実に強くなりましょう!
<正しいデッドリフトの参考動画>
デッドリフトの一連のフォーム
- バーベルは、足の中心の上に置く(つま先からかかとの真ん中)
- 足幅はだいたい自分の腰幅と同じくらいにする(20㎝~30㎝)
- つま先を少し外に向ける(10°~30°)
- 肩幅の広さでバーベルを握る(肩とバーが一直線になる)
- 前傾姿勢になり、バーベルが脛(すね)に触れるまで膝を前に出す
- 大きく息を吸って息を止める(おなかに息をためる)※これがかなり重要
- 胸を張って背筋をのばす
- 背筋がまっすぐなのを維持しながら、バーベルを引き上げる(脚で床を押す)
適切なフォームのポイント
ここからはフォームを細かく区切って確認していきます。初心者の方は一つの動作を確認しながら練習していきましょう。
ポイント
- デッドリフトの足幅
- バーベルの握り方
- 胸を張る(上背部の筋肉を引き締める)
- デッドリフトの挙上動作
- 背中の姿勢
- デッドリフトの呼吸法
デッドリフトの足幅
デッドリフトの足幅は、垂直跳びとほぼ同じスタンスをとります。
かかとを20~30cm開き、つま先を外側に向けます。これがデッドリフトの正しい足幅です。
人によって身長や骨格が違います。身長が高く身体の大きい人ほど股関節の幅が広くなるので足幅も広くなります。
自分の骨格に会ったスタンスにすることが大切です。
また、つま先を開く角度は10~30°開くのがいいでしょう。自分が1番力が入るつま先の角度を探りましょう。
まとめ
- かかとを20~30cm開く(垂直跳びを同じスタンス)
- つま先を10~30°外側に向ける(一番力が入る角度を見つける)
バーベルの握り方
デッドリフトにおけるバーベルの握り方は、2パターンあります。
メモ
- 両方を順手で握る、ダブルオーバーハンドグリップ
- 片方を順手、もう片方を逆手で握る、オルターネイトグリップ
パワーリフティングをやっている人でなければ、ダブルオーバーハンドグリップをおすすめします。オルターネイトグリップは左右の手で握り方が違うので、筋肉のつき方に若干違いがでてきます。
特にボディーメイクを目指している人は、ダブルオーバーハンドグリップを使いましょう。握力がもたなくなってきたら、リストストラップを使うのもひとつの手です。
まとめ
- ダブルオーバーハンドグリップで握る
- 握力に限界が来たらリストストラップを使う
胸を張る(上背部の筋肉を引き締める)
バーベルを握ったら前傾姿勢になり、胸を張ります。ここが難しいポイントです。
背中が丸まってしまうと腰へのダメージが高くなり、ケガの原因になります。
脇をしっかりしめてスネに触れるぐらいバーベルを近づけます。
背中の下部から上部まで一直線のラインを作りましょう。この時、腰を下げないようにしましょう。脇の真下にバーベルがあるイメージです。
肩の真下にバーベルがあるのは、体とバーベルが遠すぎです。
胸を張るとき肩甲骨は寄せてはいけません。
まとめ
- バーベルを握ったら前傾姿勢になって胸を張る
- 脇をしっかりしめてスネにバーベルが触れるぐらい近づける
- 腰を高く保つ
- 脇の真下にバーベルが来る
デッドリフトの挙上動作
大きく息を吸い込んで脚にそってバーベルを引き上げます。バーベルを持ったままレッグプレスをするイメージで引き上げましょう。
デッドリフトの挙上動作では、バーベルが常に脚に近いところを通さなければいけません。
バーベルは足の中心の真上を垂直な軌道をたどります。
バーベルを上げきったら胸を張ることが重要です。「ただ胸を張るのです」(背中を反らしたり、肩甲骨を寄せるのは間違いです。)
上げ切ったバーベルを下ろすときは真逆の動作を行います。一つ違う点は、上げる時よりも早く下ろしても良い点です。
ゆっくりネガティブを意識する必要はありません。行きよいよく下ろしましょう。ネガティブコントロールしようとすると腰を痛めてしまいます。
下ろしきったらバウンドせずにバーベルを静止させてから、挙上動作を繰り返します。
デッドストップ「静止した」の状態から力を出すことからデッドリフトと言われています。バウンドさせて挙上する動作は、もはやデッドリフトではありません。
まとめ
- バーベルを持ったままレッグプレスをするイメージ
- 足の中心の真上を垂直な軌道で上下させる
- 上げきったら胸を張る(背中を反らしたり、肩甲骨を寄せるのは間違い)
- 下ろすときはネガティブを意識せずに下ろす
- バーベルをバウンドさせない
背中の姿勢
デッドリフトで起こるケガのほとんどは背中が丸まることで引き起こされます。
特にスタートポジションの時に胸を張ることが重要です。しかし、意識しすぎて下背部の腰周りが反り過ぎるのは良くありません。
脊柱の自然な湾曲を作ることが正しいデッドリフトには必要です。
胸を張り、背筋が一直線なのを意識しましょう。
まとめ
- 背中が丸まるとケガの危険性が高くなる
- 腰が反り過ぎるのはもっと危ない
- 脊柱の自然な湾曲を作る
デッドリフトの呼吸法
デッドリフトでケガをしないためには、呼吸が重要になります。
デッドリフトの呼吸方法は、大きく息を吸ってお腹に溜めて息を止める。ただこれだけです。
この状態でバーベルを引くことで腹圧がかかり体幹の安定をもたらし、高負荷から腰を守ってくれます。
「大きく息を吸って息を止める」これが重要です。
筋トレ論にありがちな、"上げる時に息を吸って吐きながら下す"をデッドリフトでやってしまうと腰にダメージを与えてしまうのでやめましょう。
デッドリフトのタイミングと頻度・負荷設定
デッドリフトの適切なタイミング
デッドリフトは、かなり高負荷できつい種目です。トレーニングを始めたばかりの初心者やこれからデッドリフトに取り組む人は、トレーニングのどのタイミングが一番良いのか気になりますよね。
デッドリフトの適切なタイミングは「トレーニングの最初か最後」になります。これはメニューの組み方によって違ってきます。
一度で全身を鍛えるフルボディトレーニングの場合は、基本的にスクワットから始める為デッドリフトは最後に持ってきます。
フルボディ以外のプログラムの場合は、デッドリフトから始めることが最適です。
続きを見る
【筋トレメニューの組み方】週2〜4回の最適なプログラムを紹介します
デッドリフトにベストな頻度
デッドリフトは腰や神経系などに非常に普段がかかるトレーニングです。他のどのウエイトトレーニングよりも回復に時間がかかります。
なので、デッドリフトを高頻度で行うのはおすすめしません。しかし、トレーニングする上で頻度は重要です。
つまり、デッドリフトを行う頻度は、1週間に1〜2回がベストと言えます。
トレーニング初心者の方については、まだ扱える重量が少ないので1週間に3回行っても問題ないでしょう。初心者にとってはフォームを覚えることが最優先なのである程度頻度よくやった方が覚えやすいメリットがあります。
最適な負荷設定
負荷設定とは、バーベルを持ち上げる回数(レップ数)とセット数のことです。
デッドリフトは、負担が大きいので負荷のボリューム多すぎると逆効果になります。
適切な負荷設定
- レップ数:1〜5レップ
- セット数:1〜3セット
デッドリフトを筋肥大目的に8〜10回ほど行って追い込むことはあまり意味がないのでやめるべきです。
もっとも効果的なのは1〜3セット×5レップです。
5レップは、パワー系の種目では筋力が上がり筋肉も肥大するベストな回数です。また、限界まで追い込むことにはデメリットしかありません。
基本的に週に2回やる方は、メインセットが1セットで十分です。
デッドリフトはかなり負担がかかります。高ボリュームでやり続けると、必ずデッドリフトができない期間ができます。
ウエイトトレーニングは、何よりも継続することが大切です。
-
背筋の筋肥大に効果的なトレーニングボリューム・頻度
続きを見る
デットリフトに有効なトレーニングギア
本格的にデッドリフトを始める初心者が手に入れたほうが良いトレーニングギアは2つあります。デッドリフトの負荷から腰椎を守ってくれる「パワーベルト」、握力を補助してくれる「リストストラップ」です。
トレーニングギアは長期的に見てケガ防止の効果があります。使うことをおすすめします。
背中トレに有効なトレーニングギア
- パワーベルト
- リストストラップ
有効なトレーニングアイテム①パワーベルト
サイズ感は、178㎝-78kgの筆者はMサイズを使用しています。
パワーベルトを使うメリットは、
メモ
- 高負荷のトレーニングから腰を守ってくれる
- 腹筋に力が自然と入るので使用重量が少しあがる
パワーベルトを腰に巻き大きく息を吸い込むことで腹圧が高まります。この腹圧がスクワットやデッドリフトに欠かせないものです。特に腰に不安のあるトレーニーは「パワーベルト」を使うことをおすすめします。
数あるパワーベルトの中で、BIG3に最も適しているのが「ゴールドジム パワーベルト」です。ベルトの幅が前後で同じ物のダブルピンタイプを選びましょう。
楽天市場だと「13200円」、Amazonでは「12000円」で購入できます。
値段が高く感じるかもしれませんが、パワーベルトを使えば腰のケガが防げると思えば筆者にとっては安く感じます。ぜひ使って欲しいギアです。
有効なトレーニングギア②リストストラップ
リストストラップは背中のトレーニングには必須のアイテムです。ゴールドジム製のリストストラップが値段や耐久制の部分で優れています。筆者も3年以上愛用しています。
リストストラップは背中を鍛える種目など、いわゆるプル系(引っ張る)動作において、本来鍛えたい筋肉よりも前腕や握力が先に消耗してしまうことを防止します。
特に初心者や中級者の方こそ必要ですよ。
トレーニングに慣れていないと、腕の力に頼ってしまいがちで背中の力をうまく使えない方が多いです。前腕の力を適度に抜くことで、背中など本来鍛えたい部位にフォーカスしやすくなります。
基本的にデッドリフトは、他のBIG3にくらべて初心者でも自分の体重以上の重量が上がりやすい種目です。そうなるとすぐに握力に限界がきます。
オルターネイトグリップという手段もありますが、筋肉の左右差をつけない為にもリストストラップを付けてダブルオーバーハンドグリップをおすすめします。
まとめ:デッドリフトは大きな背中を作ってくれる
正しいデッドリフトは他のどの背中のトレーニングよりも、筋肥大、筋力アップの効果があります。
デッドリフトは、特性上フォームが良くなくても重い重量が上がります。間違ったフォームは、怪我の危険性が高いので、デッドリフトに取り組む上で正しいフォームを覚えることは、必須なのです。
正しいデッドリフトをマスターして、怪我なく確実に強くなりましょう。
-
【最強の3種目】筋トレBIG3だけで効果的に筋肥大|やり方とメニューを解説
続きを見る