マッスルメモリーという概念は本当のもの?
筋肉が記憶されるってなんかうさん臭い話だなー。
鍛えて大きくなった筋肉は、しばらく筋トレから離れ筋肉が失われても、筋トレを再開すればすぐに元のサイズを取り戻せる。これがマッスルメモリーと言われるものです。
でもなんか、うさん臭い話ですよね笑。マッスルメモリーって名前がふざけてる感じしません?w
しかし、マッスルメモリーは本当に存在します。実は研究によって実証されていて、科学的根拠がちゃんとあるんです。
筋肉を失うことはトレーニーにとっての最悪の悪夢です。
でも安心してください。しばらく筋トレから遠ざかっていても、また筋トレを再開すればすぐに元のサイズに戻りますよ。
今回はマッスルメモリーの原理について、研究データを使ってまとめていきます。
マッスルメモリーの効果に疑いがある人も本記事を読むことで存在を確信できると思います。参考になれば幸いです。
目次
マッスルメモリーは都市伝説ではありません。
マッスルメモリーと言われる現象は事実であり、科学的根拠があります
下の画像は、1980年〜90年にかけて活躍したボディビルダーのFranco Sontoriello氏ですが、彼は見事にマッスルメモリーを成功させています。
引用:https://insidebodybuilding.com/will-muscle-memory-help-you-regain-lost-muscle/
トレーニングをしていない時期の肉体(画像左)から10週間後、そして16週間後にはステージに立てるほどの肉体へと復活させています。
彼はステロイドを使っている可能性があるので、ナチュラルの肉体とはかけ離れていますが、いくらステロイドの作用が凄まじくともこれ程の筋肉量を復活させるのは驚愕の一言です。
筋肉量を10kg増やすのにゼロからスタートして3年かかったとしても、失われた10kgの筋肉は数ヶ月くらいで戻すことができるのです。
マッスルメモリーの科学的根拠
じゃあなぜマッスルメモリーが起こるのか?実は近年まで謎だったメカニズムが2010年の動物実験によって解明されてきました。
マッスルメモリーの謎は、筋肉が持っている細胞(筋核)によるものだったのです。
マッスルメモリーの謎、筋核とは?
まず大前提として、筋肉が太くなるためには、筋肉を構成している「筋繊維」が太くなる必要があります。
この筋繊維は長さ数センチにも及ぶ巨大な細胞で多くの核(「筋核」という)を持っています。
最近の研究で、1つの筋核が支配できる細胞の体積に上限がある(筋核の数が増えない限り筋繊維が肥大できる程度に上限がある)ことがわかってきました。
つまり、ある一定以上に筋繊維が太くなるには筋核を増やしていく必要があるんです。
カンタンにまとめると、
トレーニングする → 筋繊維が肥大する → トレーニングする → 筋核が増えさらに筋繊維が肥大する → トレーニングする → 筋核が増えさらに肥大する
このプロセスの繰り返しで筋肉が大きくなっていきます。
筋トレで一番大切なことは、筋核の数を増やしていくことです。
しかし、1ヶ月程度のトレーニングでは不十分で、少なくとも半年以上は続ける必要があります。筋トレしても半年ぐらい続けないと体が変わらないと言われることは、筋核の影響があるのです。
マッスルメモリーは保存された筋核のこと
筋核を増やすのはカンタンではありませんが、筋力トレーニングによって一度増えた筋核はそうかんたんに減少しないことが確認されています。
下記の図は、筋肉量の増加と筋核の数の関係のモデルです。
引用:https://www.pnas.org/content/107/34/15111
筋核の数によって筋繊維の肥大の上限が決まっていることから、筋核の数が多いほど筋肉が大きくなる余地があります。
筋肉が失われても筋核の数は増えたままなので、筋トレを再開しても筋核を増やす過程を飛ばすことができます。
ケガなどで長期間トレーニングを中断して筋肉が失われても筋核の数は減っていないので、カンタンに元のレベルの戻すことができるのです。
マッスルメモリーの期限はどのくらい?
2010年の研究によってマッスルメモリーのメカニズムは解明されつつありますが、マッスルメモリーの期限に関するデータはないのが現状です。
つまり、現段階ではマッスルメモリーの期限がどのくらいなのか分かっていません。
しかし、石井直方教授の研究によれば、マッスルメモリーは少なくとも10年はもつようです。
少なくとも半年、1年間の中断程度であればマッスルメモリーは有効だと言えます。
なので、今筋トレできなくとも再開すればすぐに復活できるのでご安心ください。
【マッスルメモリーは事実】筋肉を失うことを恐れるな!
ケガをしたり、仕事が忙しくなったり、ライフワークが変化して筋トレができない時期があるかもしれません。
筋トレができないことで筋肉を失う恐怖に襲われるかもしれませんね。しかし、失った筋肉はすぐに戻るので、何も恐れる必要はありませんよ。
また、マッスルメモリーの効果によって以前よりもさらに筋肉を大きくすることができると2018年の論文に報告があります。
2018年の研究データは下記の通りです。
- 筋トレ経験のない8人の男性被験者が対象
- 週3回の筋トレを7週間継続→その後7週間中断→週3回の筋トレを7週間
実験結果
7週間の筋トレで除脂肪体重が6.5%増加し、その後の中断期間に筋肉量が減ったがさらに7週間の筋トレを再開した後は除脂肪体重が12.4%増加した。
つまり、筋トレを中断したにもかかわらず再開後は元の2倍近くの筋肉量を得ることができたのです。
引用:https://www.nature.com/articles/s41598-018-20287-3
マッスルメモリーは存在します。筋トレができない時こそ、余った時間を活用して何か新しいことを始めると新たな発見があるかもしれませんよ。
筋肉を失うことを恐れる必要はありません。
まとめ|昔の肉体はあなたの筋肉がしっかり覚えてくれています。
以上、マッスルメモリーについて科学的根拠をもとに解説しました。
マッスルメモリーという名前にうさん臭さがでていますが、ちゃんしたとエビデンスがあるのですよ!
昔の肉体はあなたの筋肉がしっかり覚えてくれています。筋トレをサボってしまった、ケガで筋トレができないと悩んでいる人も安心してください。
マッスルメモリーがすべてを解決してくれます。
それでは、いい筋トレライフを!
参考文献