バーベルスクワットの正しいフォームと得られる効果を
海外のエビデンス付きで徹底解説していきます。
バーベルを使って行う主要なトレーニング種目は、これまでに開発されてきたその他のトレーニング用品よりもはるかに優れています。
Mark Rippetoe著 starting strengthより引用
「筋トレ BIG3」の一角、バーベルスクワットは
あらゆるトレーニング種目の中でも「最高のトレーニング種目」です。
適切なフォームで行うバーベルスクワットによって得られる効果は絶大です。
本記事ではバーベルスクワットの
- 絶対にケガをしないフォーム
- 効果と強さを引き出すフォーム
上記の2つにフォーカスして解説していきます。
目次
バーベルスクワットは最高のトレーニング種目
多くのトレーニーがウエイトトレーニングにおけるスクワットの重要性を十分に理解していないのではないでしょうか。
アメリカにおけるバーベルトレーニングの第一人者であるMark Rippetoe氏は自身の著書「starting strength」で以下のことを述べています。
バーベルスクワットがバーベルを使ってできる最高のトレーニング種目であり、現存する中で最高の筋力トレーニング種目である。
Mark Rippetoe著 starting strengthより引用
バーベルスクワットは筋力・筋量を伸ばすためにもっとも有効で、価値のあるトレーニング種目です。大腿四頭筋・ハムストリング・大臀筋・内転筋郡・ふくらはぎ…すべての下半身の筋肉を総動員し非常に効率的に鍛えることができます。
まさに下半身のメイン種目と言える存在です。
正しいバーベルスクワットは、あらゆるトレーニング種目の中でも、最も「下半身の筋力アップ・筋肥大」に貢献できます。
しかし、大きな問題はバーベルスクワットを十分に理解していない人の多くが、正しいバーベルスクワットを行った経験がないことです。
バーベルスクワットがもたらす効果
優れたトレーニング種目であるバーベルスクワットがもたらす効果について解説します。
もたらす効果
- 巨大な下半身を手に入れられる
- 痩せやすい体質になれる
- 上半身もデカくなる
巨大な下半身を手に入れられる
太くて逞しい下半身を作るためにバーベルスクワットは欠かせません。スクワットの拳上重量をあげることが下半身の筋肉量を増やす近道です。
カナダ出身のナチュラルボディビルダー Jiff Nippardさんは、2015年にカナダで開催されたパワーリフティング大会New Brunswick Provincialsにおいて「ノーギアでスクワット202.5kg」挙げています。
ポイント
レッグプレスやスミスマシンを使ったスクワットは、バーベルスクワットの代わりにはなりません。バーベルスクワットで得られる効果は、バーベルスクワットでしか手に入れることができないのです。
また、バーベルスクワットはスポーツにおけるパフォーマンス向上にも効果があります。バーベルスクワットで鍛えた筋肉は使えるものです。
痩せやすい体質になれる
モデル体型になりたい、憧れの女優のようなスタイルになりたいと望んでいる女性はたくさんいるのではないでしょうか?
そんな女性にはバーベルスクワットをおすすめします。
バーベルスクワットには足を細くしてお尻を引き締める効果があるからです。なぜなら人体の筋肉の70%が下半身に集中しています。
ポイント
基本的に筋肉を付けて基礎代謝を上げると、何もしなくても消費される基礎カロリーが上がるため痩せやすい体になります。最も効率的に基礎代謝を上げる方法は人体の70%の筋肉が集中している下半身を鍛えることです。
つまり、最高の下半身トレーニングであるスクワットを行うと、効率よく脂肪を燃焼できる体質になれるのです。
女性の中には筋トレをするとすぐに筋肉がついて太くなると言う人がいますが、気にせず筋トレしましょう。女性のテストステロン値では、ムキムキのマッチョになることは不可能に近いからです。
脂肪が付くより筋肉が付いた方が嬉しいですよね。
バーベルスクワットをすると上半身もデカくなる
上半身をデカくするには、下半身もしっかり鍛える必要があります。下半身を鍛えると上半身もデカくなると言われる理由は大きく2つあります。
メモ
- すべてのトレーニングで下半身を補助的に使っているから
- 成長ホルモンがより多く分泌されるから
スクワットをしっかり取り組むことで上半身も効果的に鍛えることができるのです。
続きを見る
【脚トレのメリット】下半身を鍛えると上半身も大きくなる理由!
バーベルスクワットで鍛えられる筋肉の部位
出典:https://www.sfphes.org/2019/09/musclename-bk.html
スクワットはあらゆる筋肉を鍛えることができます。具体的にどの部位が鍛えられるのか解説します。
スクワットで鍛えられる筋肉
- 大腿四頭筋(太もも前側)
- ハムストリング(太もも裏側)
- 大臀筋(お尻の筋肉)
- ふくらはぎ
- 腹筋
- 脊柱起立筋(腰回りの筋肉)
①大腿四頭筋
スクワットでもっとも鍛えられるのが大腿四頭筋です。どの筋肉よりも大腿四頭筋に筋肉痛がでる傾向があります。
スクワットをすることで、男性であれば太くてたくましい大腿四頭筋。女性であれば細くてきれいな足を手に入れることができます。
②ハムストリングス・大殿筋
バーベルスクワットでハムストリングス・大殿筋をもっとも鍛えられるのは、背中の肩甲骨あたりでバーを担ぐスタイルの「ロウバースクワット」でしょう。
ロウバースクワットを行うと、ハムストリング・大臀筋といった下半身の裏側の筋肉も大きく関与します。
ハムストリングス・大殿筋を鍛えることでデッドリフトの重量もあがり、バーベルローをするときの下半身の安定にも効果があります。
筋肉は連動しているので、スクワットの重量が上がると、デッドリフトの重量も上がるのです。
③ふくらはぎ
スクワットは、ふくらはぎの筋肉も鍛えられます。
女性だとふくらはぎを鍛えることでシェイプアップされた細くてきれいな足が手に入りますね。
④腹筋
実は、バーベルスクワットで腹筋も鍛えられます。そのメカニズムとは、腹圧にあります。
バーベルスクワットを安定して行うためには、お腹にいっぱいに空気をためて腹圧を高めることが重要です。
腹圧を高めることで「コア」を固めて安定したスクワットができるようになります。
バーベルスクワットでは、腹圧をしっかり使うことで腹筋トレーニングをしなくても腹筋が鍛えられるのです。
⑤脊柱起立筋
脊柱起立筋は、腰にある筋肉です。日常の動きや運動中の動作でも腰の筋肉「脊柱起立筋」は、かなり重要な役割を持っています。
脊柱起立筋を鍛えるだけで運動能力の向上が期待できるほどです。
スクワットにおいては、体の安定を保つために働いてくれます。スクワットで脊柱起立筋を鍛えることで腰痛の改善にも効果があります。
スクワットはロウバースタイルでやるべし
スクワットには様々なスタイルがあります。
メモ
- ロウバースクワット
- ハイバースクワット
- フロントスクワット
- ピンスクワット
- スコットスクワット
中でも一番おすすめするスタイルは、「ロウバースクワット」です。
なぜロウバースクワットなのかというと、
- 最も高重量を上げることができる
- バランスよく鍛えることができる
ナチュラルトレーニーが効果的に筋肉量を増やして行くには、常に重量を上げていく意識が必要です。
もちろんハイバースタイルなどその他のスクワットも効果的ですが、ロウバースクワットは大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋とバランスよく鍛えられるのが大きな特徴です。
ロウバースクワットの特徴として、バーを担ぐ位置が肩甲骨あたりになることでしゃがむ時に前傾姿勢になります。
ロウバースクワットの特徴
- バーを背中の肩甲骨あたりで担ぐ
- バーを担いだ背中はやや前傾姿勢になる
【ロウバースタイル】バーベルスクワットのフォーム
ロウバースタイルのバーベルスクワットの適切なフォームをご紹介します。
Mark Rippetoe著 スターティングストレングスの教えに沿って解説していきます。
参考動画
スクワットの一連のフォーム
- バーベルを担ぐ位置は、背中の肩甲骨の部分
- バーベルを持つ手の親指は、バーの上に置く
- かかとを肩幅と同じ広さにして、つま先は30°外に向ける
- 膝とつま先が同じ方向に向くようにする
- バーベル起動は、足の土踏まずの位置を垂直に上下する
- 可動域いっぱいまでしゃがむ(太ももと床が平行より下の位置)
- 膝はつま先より少し前にでるのが正しい
- ピップドライブを利用してしゃがむ時に反動を使って一気に立ち上がる
これがスクワットの一連の動きです。
【ロウバースタイル】正しいバーベルスクワットのポイント
先ほどは一連の動きを紹介しました。ここからはフォームのポイントを細かく説明していきます。
ポイント
- バーベルを持つ手幅
- バーベルを担ぐ位置
- 適切な足幅
- しゃがむ深さはパラレル以上
- バーベルは垂直な軌道で上下する
- ヒップドライブを効果的に使う
- バーベルスクワット中の呼吸法
バーベルを持つ手幅
バーベルスクワットは、バーを持つ手幅が広すぎると上背部の筋肉の引き締めがゆるくなり、バーベルが安定しません。
ジムに置いてあるバーベルシャフトの多くは、81㎝の間隔でマークが付いていると思います。
このマークはベンチプレス競技のルールで定められたグリップ幅を示しています。一般的なスクワット時の手幅は、81㎝のラインより内側に両手が収まることが最適です。柔軟性が必要ですが、手幅の間隔が狭い方がバーベルが安定します。
手幅をせまくして肘を後ろに上げると、肩の後ろ側の筋肉を使ってバーベルを安定させやすくなります。
バーの握り方は、順手で握り親指はバーの上に来るようにします。こうすると窮屈なポジションでも手が痛くなりません。
バーベルを担ぐ位置
正しいロウバースクワットのバーベルを担ぐ位置は、「肩甲骨上部の筋肉で盛り上がった部分」です。厳密にいうと肩甲棘(けんこうきょく)で担ぎます。
肩甲棘で担ぐためには、先ほど解説した「手幅の狭い間隔でバーを握り肘を後ろに上げる動作」が必要になります。
そうすることで肩甲骨上部の筋肉が盛り上がりバーベルを担いだ時に安定が増します。手幅をより狭くすると肩甲棘の盛り上がりが大きくなるので柔軟性がある人は、手幅をできるだけ狭くすることをおすすめします。
バーベルスクワットの最適な足幅
ロウバースクワットにおける足幅は、肩幅と同じ幅が最適です。かかとを肩幅に開きつま先は外側に開きます。
つま先を約30°外側に開くことで自然なスタンスをつくることができます。
しゃがむ深さはパラレル以上
スクワットではしゃがむ深さが非常に重要です。しゃがむ深さによって得られる効果がかなり違ってきます。
スクワットの効果を最大限引き出すためには、パラレル以上の深さ(お尻の下部が膝より下)までしゃがむことが最も必要なことです。
一般的にしゃがんだ時、背中の角度は約45°の角度で前傾します。
パラレル以上の深さまでしゃがむメリットは
メモ
- 膝のケガ防止になる
- ハムストリングス・大殿筋を総動員できる
- バランスよく鍛えられる
何よりもケガ防止のためにも、深くしゃがみましょう。
また、しゃがんだ状態で膝がつま先より前にでるとケガをすると思っている人がいますが、実は都市伝説的な話で科学的根拠はありません。
人体の特徴どうしてもつま先より膝が前にでるのは当然のことです。深くしゃがめない重量でやるべきではないのです。
バーベルは垂直な軌道で上下する
バーベルの起動は、地面(重力)に対して垂直な状態がより効率的にパワーを発揮できます。
足の中心である土踏まずの鉛直上をバーベルが通る軌道がベストな状態です。
ヒップドライブを効果的に使う
バーベルスクワットはレッグプレスとは全く違う種目なので、脚で地面を押すというのは間違った介錯です。
バーベルスクワットは股関節の伸展反射を使ってお尻から爆発的に拳上します。
これをヒップドライブと呼びます。
つまりバーベルをコントロールする位置は、大腿四頭筋ではなく膝でもなく股関節です。股関節でコントロールするという感覚が非常に重要です。
パラレル以上まで深くしゃがむと股関節に付いている筋郡が引き伸ばされます。引き伸ばされた筋肉は反射的に強く収縮しようとします。その反射を利用して立ち上がることが、最も効率的なスクワットに繋がります。
バーベルスクワット中の呼吸法
バーベルスクワット中の呼吸は、無呼吸がベストです。
メモ
ウエイトを下ろすときには息を吐き、ウエイトを挙げるときには息を吸う呼吸法が一般的ですが、スクワットをする時には適切ではありません。
高重量でのスクワット中に呼吸をしてしまうと、腰回りの緊張がとれてしまい腰が破壊され整形外科のお世話になってしまいます。
スクワットでは腹圧を高めることが重要です。
レップごとに大きく息を吸い込んで息を止めてスクワットを行うと腹圧を高めることができます。腹圧を高めることで、体幹が安定して重い重量から腰を守ってくれます。更に、腹筋にも力が入り腹筋も同時に鍛えられます。
正しい呼吸法でバーベルスクワットを行えば、個別に腹筋トレーニングをしなくてもいいのです。
まとめ
- 手幅は狭い方が安定する
- 肩甲棘の盛り上がった部分でバーベルを担ぎ、肘を後ろに上げると更に安定する
- かかとを肩幅に開きつま先を約30°外側に開く
- パラレル以上の深さでしゃがむ
- バーベルの起動は土踏まずの上を垂直に上下する
- バーベルは股関節でコントロールする
- バーベルスクワット中はレップごとに無呼吸で行う
スクワットに有効なトレーニングギア
バーベルスクワットは高重量が扱えるため体への負担が大きいのが特徴です。
身体に不安がある方はもちろんのこと、まだケガを経験していない方もケガ予防のためにトレーニングギアを使うことをおすすめします。
ケガをしてトレーニングが出来ないほど悔しいことはありませんよ。
自分の経験から、ぜひとも使って欲しいと思います。
スクワット に有効なトレーニングギア
- パワーベルト
- ニーラップ・ニ―スリーブ
- スターティングストレングス(BIG3の教科書)
有効なトレーニングギア①パワーベルト
サイズ感は、178㎝-78kgの筆者はMサイズを使用しています。
パワーベルトは、スクワットやデッドリフトで使用します。
パワーベルトを使うメリットは、
メモ
- 高負荷のトレーニングから腰を守ってくれる
- 腹筋に力が自然と入るので使用重量が少しあがる
パワーベルトを腰に巻き大きく息を吸い込むことで腹圧が高まります。この腹圧がスクワットやデッドリフトに欠かせないものです。特に腰に不安のあるトレーニーは「パワーベルト」を使うことをおすすめします。
数あるパワーベルトの中で、BIG3に最も適しているのが「ゴールドジム パワーベルト」です。ベルトの幅が前後で同じ物のダブルピンタイプを選びましょう。
楽天市場だと「13200円」、Amazonでは「12000円」で購入できます。
値段が高く感じるかもしれませんが、パワーベルトを使えば腰のケガが防げると思えば筆者にとっては安く感じます。ぜひ使って欲しいギアです。
有効なトレーニングギア②ニーラップ・ニ―スリーブ
ニースリーブ
ニーラップ
ニーラップ・ニ―スリーブはスクワット中の膝の保護に有効なアイテムです。
ニーラップはテーピングのように膝にぐるぐる巻きつけるタイプ。ニ―スリーブは伸縮性がある筒状のものを膝に取り付けるタイプ。どちらも膝サポーターの役割をしてくれます。
特にスクワット中に膝がポキポキなる人は、ニーラップ・ニ―スリーブを付けると膝のお皿が固定されるので音がでなくなります。また、ニーラップ・二―スリーブを付けていると安心感が出るので、思いっきりスクワットが出来ます。自然と可動域いっぱいまでしゃがみ込めるので効果も高まります。
膝のケガ予防の為にも本格的にスクワットに取り組むなら、ぜひ使うべきトレーニングギアです。
個人的には特に膝のケガがなければニ―スリーブをおすすめします。ニーラップはスクワットの拳上重量を上げるサポート用品としての側面があります。ニ―スリーブの方が膝を温めてくれるので、スクワットで力を付ける目的があるならニ―スリーブを使う方が良いでしょう。
有効なトレーニングギア③スターティングストレングス
スターティングストレングスは、 全米で有名なストレングスコーチ・Mark Rippetoeの超ベストセラー著書です。
トレーニングギアではないですが、スクワット含むBIG3をやる時に非常に重要なフォームについて圧倒的な情報量で書かれています。筆者のトレーニングスタイルもスターティングストレングスをかなり参考にしています。
ウエイトトレーニングをやる上でしっかりとした知識が必要です。
注意ポイント
トレーニング効果を高める最大の要因は、正しく科学的にトレーニングができているかどうかがすべてです。最後の1レップまで追い込むなど精神論で語っている人もいますが、そこから得られる効果に根拠はありません。
本気でトレーニングに取り組んでいくなら多くの正しい知識をこの1冊から学ぶべきです。
まとめ
正しいスクワットは、他のどの下半身のトレーニング種目よりも「筋力アップ、筋肥大」の効果をもたらしてくれます。
特に筋トレ初心者こそ、正しいスクワットを覚えることをおすすめします。
筋肥大を目指している人、筋力アップを目指している人、細くてきれいな足になりたい女性、すべての人にスクワットをおすすめします。