懸垂(チンニング)の効果、正しいフォームについてまとめています。
チンニングは自重トレーニングの代表格でありながら、あらゆる背筋マシンを凌駕する非常に優れたトレーニング種目です。
チンニングは上半身の筋肉を効果的に鍛えてくれます。
しかし、間違った懸垂は本来得られる効果のほとんどを失ってしまいます。残念ながらジムで見かける懸垂の多くは間違ったやり方をしています。
特に初心者にとって懸垂は難しい種目ですが、正しいやり方をマスターすると絶大な効果を得ることができる替えのきかない種目となります。
ぶら下がれる物さえあればどこでもできるトレーニングです。
ジムに通っていなくてもたくましい背中をつくることができますよ。
チンニングは初心者だけでなく、中級~上級者にも重要な種目です。
正しいやり方をご紹介していきます。
本記事の内容
- チンニングで得られる効果
- チンニングの正しいフォーム
目次
チンニング(懸垂)で得られる効果
懸垂は上半身の筋肉を的確に鍛える優れたトレーニング種目です。
広背筋、大円筋、僧帽筋といった上背部の筋肉や上腕二頭筋、前腕、体幹部など上半身のあらゆる筋肉を同時に鍛えることができます。
特に広背筋への効果が最も高く、背中の種目の中でデッドリフトの次に優れていると言っても過言ではないでしょう。
また、一度に多くの筋肉を関与させる点でも非常に優秀なトレーニング種目と言えます。
正しいフォームの懸垂の回数が伸びると、それに合わせてオーバーヘッドプレスやベンチプレスも伸びていきます。
懸垂は初心者~上級者まで多くのトレーニーが取り入れるべきプログラムです。
ラットプルダウンよりもチンニングが筋肥大に効果的
多くのトレーニーが懸垂よりもラットプルダウンの方が大きな背中をつくれると信じていますが、それは間違っていると下記の研究結果で証明されています。
2013年に3人のオーストラリア ジェームズクック大学の学者による「懸垂とラットプルダウンの運動学および心電図の比較」という論文が書かれています。
Kinematic and electromyographic comparisons between chin-ups and lat-pull down exercises.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24245055 より引用
この論文によると、上腕二頭筋(BB)、上腕三頭筋(TB)、広背筋(LD)、脊柱起立(ES)への刺激はラットプルダウンよりも懸垂の方が大きいことが証明されています。
つまり、広背筋を大きくしたいのならラットプルダウンはやめて懸垂をやるべきです。
チンニング(懸垂)は2種類あります。
懸垂は大きく2種類あります。「プルアップ」と「チンアップ」です。
順手で行う懸垂のことをプルアップ、逆手で行う懸垂のことをチンアップと言います。
プルアップとチンアップの違いは、上腕二頭筋と広背筋の関与に差があることです。
プルアップの方は広背筋への刺激が強く、上腕二頭筋の刺激が少ない。チンアップは広背筋への刺激が少なく上腕二頭筋への刺激が強いのが特徴です。
チンアップの方が上腕二頭筋が加わるのでプルアップよりも少し楽になります。プルアップができない初心者はチンアップから始めるのをおすすめします。
メモ
- 順手で行う懸垂をプルアップと言い、広背筋への刺激が強い
- 逆手で行い懸垂をチンアップと言い、上腕二頭筋への刺激が強い
- プルアップができない初心者はチンアップから始めるのをおすすめ
チンニング(懸垂)の正しいフォーム
ジムでチンニングを行なっている方の多くが間違ったフォームで懸垂をしています。
間違ったチンニングの代表例として「可動域が狭い」「チーティング(反動)を使う」があります。懸垂の効果を最大化させる為にも正しいフォームは必須です。
懸垂で特に効果が高いのは可動域の両端です。
狭い可動域に限定して懸垂するのは「浅いスクワット」と同じように意味がないことです。
Mark Rippetoe著 スターティングストレングスの教えに沿って解説していきます。正しい懸垂を覚えて怪我なく確実に強くなりましょう!
プルアップのフォーム
正しいプルアップの参考動画ポイント
- 手幅は肩幅より広めにとる
- スタート位置では肘をまっすぐに伸ばし、肩甲骨を上に動かし、完全に伸ばしきる
- 肘を下げる感覚で体を引き上げる
- あごがバーを越えたら1レップ
- 呼吸は身体を引き上げた位置で素早く息を吸う
最大の可動域を行いましょう。身体が伸びきった状態から顎(あご)がバーを越えるまでが1レップです。
チーティング(反動)を使ったり可動域が狭い場合は、1レップとは数えません。
チンアップのフォーム
正しいチンアップの参考動画ポイント
- 手幅は肩幅の広さ
- スタート位置では肘をまっすぐに伸ばし、肩甲骨を上に動かし、完全に伸ばしきる
- 肘を下げる感覚で体を引き上げる
- あごがバーを越えたら1レップ
- 呼吸は身体を引き上げた位置で素早く息を吸う
チンアップも最大の可動域で行うことが重要です。また、プルアップが出来ない初心者はチンアップから始めることをおすすめします。
基本的に上腕二頭筋が加わるチンアップの方がプルアップよりも楽なトレーニング種目です。
チンニングができない人はどうすればできるのか
懸垂をやりたくても1回もできない人に向けて解決策を紹介します。
安心してください。筆者も最初は1回もできませんでしたが、今は10kgの荷重懸垂でセットを組んでいます。
”継続すれば必ずできる”ようなります。
懸垂ができなくて悩んでいる人は下記に書いていることを実践してみて下さい。
懸垂ができるようになる方法
- ジャンピング懸垂をやる
- 高頻度でやる
- 握力不足はリストストラップを使う
ジャンプピング懸垂をやる
ジャンピング懸垂とは、ジャンプの力を利用して身体を引き上げトップポジションまで持って行くやり方です。
トップポジションまで引き上げるとゆっくり3秒間隔で降ろしていきます。
こうすることで懸垂ができない人もジャンピング懸垂で筋力を養うことができます。
また、飛び上がるのは必要最小限にとどめましょう。可動域を最大限使ったフォームで懸垂ができるだけの筋力がつくまでは、ジャンピング懸垂をやると効果的です。
懸垂以外の種目で筋力をつける方法もあります。それがBIG3(スクワット・ベンチプレス・デッドリフト)です。
BIG3で筋力がつくと懸垂もできるようになります。懸垂ができない人はBIG3で筋力をつけるのも一つのやり方です。
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【最強の3種目】筋トレBIG3だけで効果的に筋肥大|やり方とメニューを解説
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高頻度でやることが重要
1週間に1回の頻度で懸垂ができるようになるには、かなり時間がかかるでしょう。
早く懸垂ができるようになる為には、高頻度でやることが重要です。1週間に2~3回以上の頻度でやるとかなり効果的です。
懸垂ができるようになる為には筋力をつける必要がありますが、週1回の頻度で筋力をつけるには不十分です。
ナチュラルトレーニーにとって同じ筋肉を週2回以上鍛えることが最適です。
しかし、初心者はトレーニング後の筋肉痛がでやすいので、高頻度でやると次のトレーニングに支障をきたす可能性があります。
その対策として限界まで追い込まないことを意識しましょう。
限界まで追い込むことにあまりメリットはありません。
限界まで追い込んでも、最後の1レップできる程度の余力を残した場合も、筋肉量の増加、筋力の向上に違いはないと、アメリカの研究で証明されています。
次のトレーニングまでに十分回復できない、ケガの原因になる などデメリットの方が大きいのです。
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筋肥大に最適な筋トレ頻度はナチュラルは各部位週2回
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握力不足はリストストラップを使えば解決
広背筋よりも先に握力に限界が来て懸垂ができない初心者は多いと思います。体重が重い方も抱えている悩みでしょう。
そんな時はリストストラップを使えば一発で解決してくれます。
リストストラップはウエイトトレーニング時の握力を補助してくれます。特に懸垂やデッドリフトなと背中の種目に有効で、初心者にこそ使ってほしいアイテムです。
背中など本来鍛えたい部位にフォーカスしやすくなるのでおすすめです。
リストストラップは多くのトレーニーが使っているので、初心者が使うことになんら恥ずかしさはありません。筆者自身、背中を鍛えるときは愛用しています。
チンニングに有効なトレーニングギア
懸垂はぶら下がれるものさえあれば、工夫次第でどこでもできる優れたトレーニングです。
もちろん自重だけでやる方法も効果がありますが、長期間やっていると自重以上の負荷が必要なタイミングがでてきます。
つまり、懸垂が上達した時です。
そんな時にあった方が良いトレーニングギアをご紹介します。
懸垂に有効なトレーニングギア
- リストストラップ
- ディッピングベルト
- 懸垂バー
リストストラップ
先ほど紹介したリストストラップです。
リストストラップにはいろんなメーカーのものがあります。
似たようなものでパワーグリップもありますが、ゴールドジム製のリストストラップがおすすめです。
耐久制がピカイチです。筆者も3年以上愛用しています。
しかも、パワーグリップが8000円程するのにリストストラップは1300円と値段も安いです。
とにかく、懸垂に取り組んで行く人は買っておいて損はないです。
トレーニングに慣れていないと、どうしても腕の力に頼ってしまうので背中の筋肉にフォーカスする為にも使うべきトレーニングギアと言えます。
また、懸垂以外にもデッドリフト、バーベルローといった他の種目にも非常に有効です。
ディッピングベルト
ディッピングベルトは鎖にプレートなどの重りをつけて加重懸垂やディップスができるトレーニングギアです。
懸垂の上級者になってくると自重だけでは負荷が足りなくなってきます。極端に言えば20回自重で懸垂をしても筋持久力のトレーニングになってしまうからです。
20回自重でやるよりも8回加重してやる方が効果が高いのです。
一般的な目安として、自重で12~15レップほど行えるようになったら加重し始めるタイミングだと思いましょう。
懸垂バー
懸垂バーを使えば自宅でも懸垂することができますね。
自宅で懸垂ができるメリットは、ジムに行くまでの時間を節約できる、公園で懸垂をやる恥ずかしさから解放される のが大きいでしょう。
自宅ならいつでも器具待ちもなく懸垂ができます。毎日できるのでかなり高頻度で取り組めます。
自宅に懸垂バーを置くのは非常に効果的です。
家のドア枠に引っ掛けてできる懸垂バーもあります。
正直、落下の恐怖心が勝ってしまい懸垂に集中できません。
置き型の懸垂バーを置けるスペースがある人は、そちらをおすすめします。
チンニング(懸垂)をやらない理由はない
懸垂は自重トレーニングでありながらウエイトトレーニング以上に効果が高い優秀なトレーニング種目です。
それほど効果的な懸垂をやらない理由はないですよね。
また、懸垂の効果を最大限生かすためにも正しいフォームでやることが重要です。
今回紹介したポイントを気をつけながらやってみてください。